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解けない暗号を作るには<サイモン・シン『暗号解読 下』> [本棚]

サイモン・シンは下巻で現代に繋がるRSA暗号、PGP暗号、量子暗号について解説していきます。

本書では、
・線文字Bの解読
・公開鍵暗号の誕生
・PGP(プリティー・グッド・プライバシー)の誕生と影響
・量子暗号の可能性
などを取り上げて、比較的平易に暗号の仕組みやその解読方法を説明しています。

感動的なのは線文字Bの解読です。

政治や軍事の暗号はどんどん解読の材料が増えるが、線文字B(ミュケナイ文明)のように古代文字は暗号と似たようなものだが、解読用の文例が増えることがない。ヒントとなる文字の組み合わせもない。

量子暗号の話は次世代の暗号として面白いから今後も発展する可能性があるので、フォローするとして、自分が毎日使用していたDESとトリプルDESの歴史などが解説されていたのが嬉しいです。

本棚に収める前にもう一回読み返しています。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-10-215973-6
「暗号解読 下」
サイモン・シン(著)、青木薫(訳)
<内容紹介、本書より>
当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号……。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。

2017/09/17<台風>
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暗号の強さとは何か?<サイモン・シン『暗号解読 上』> [本棚]

サイモン・シンは上巻で暗号の歴史と有名な事件を取り上げながら、暗号の仕組みと強さについて解説しています。

私の大好きな「エニグマ暗号」に至る前にいろいろなエピソードのどれもが興味深いです。

本書では、
・アルファベットをずらして暗号化する「カエサル暗号」
・暗号化の鍵(となる単語)を設定して、複数のカエサル暗号を同時に行う「ヴィジョネル暗号」
・シャーロック・ホームズの小説に登場する「踊る人形」
・007の作者として有名なイアン・フレミングが英国情報部勤務時に提案した暗号鍵奪取作戦「ルースレス(非常)」
などを取り上げて、比較的平易に暗号の仕組みやその解読方法を説明しています。

上巻のハイライトは、第二次世界大戦のエニグマ暗号(及び暗号器)と解読に成功した数学者アラン・チューリングのエピソードです。

エニグマ暗号の仕組みを知れば知るほど解読が難しいことが実感できますから、それを解読したチューリングら英国の解読班の天才ぶりと努力が並外れていたことも理解できます。

暗号化する仕組みは一読して理解できますが、解読する仕組みは2度読み返しました。解読するのがそれだけ大変であり、その解読のむずかしさがすなわち「暗号の強さ」ということになります。

多くの人がご存知のように、チューリングの貢献は人に知られることなく、彼は同性愛の罪(当時の英国で銅聖愛は犯罪)から、うつとなり自殺してしまいます。戦争終結に果たした役割は死後になって初めて公表され、名誉を回復しました。

当時の多くの暗号解読者たちも戦争終結に果たした役割を公表・公言できず、戦争中は隠れていたとか、前線に出なかった臆病者とさげすまれる辛い戦後を送ったようです。

今でも暗号解読や軍事に関連する人はどれだけその仕事が世の中に貢献しているかを言えず、黙々と働いているようですし、公表されて我々の目に触れるのは真実のほんの一部だけなのかもしれません。

下巻を読むのが楽しみです。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-10-215972-9
「暗号解読 上」
サイモン・シン(著)、青木薫(訳)
<内容紹介、BOOKデータベースより>
文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読され処刑された女王。莫大な宝をいまも守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話…。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ。

2017/09/02<曇時々雨>
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決着はつくのか?<大沢在昌『狼花 新宿鮫IX』> [本棚]

やっと数年越しに読み終わったという感じです。第1章を読んでからずっと本棚に「次に読む本」として並んでいました。

このシリーズは大好きです。設定も面白いですが、それぞれの話の情報が充実していて、毎回、よく調べているなぁと感じながら読んでいます。

作家だというと、関係者がいろいろ話を聞かせてくれるのだろうか、と思ったりします。

昔、米国の作家、トム・クランシーが初めての小説『レッドオクトーバーを追え』を書くのに十年を要したと読んで、作家になるには研究・勉強する時間もお金も必要だと理解しました。

しかし、複雑怪奇な現代では取材力或いはコネがとても大事だと思うようになりました。

金融小説も好きですが、やはりその世界の複雑な事情などを白日さらしているという点が「読み応え」に繋がっているように思います。昔は城山三郎、高杉良、最近では黒木亮などの作品が好きです。

さて、私の中では、未だに主人公「鮫島」のイメージは俳優・真田広之のままです。同じ年のテレビドラマ『高校教師』と合わせて、アクションスター或いはかっこいい主役からつらい過去を背負った主人公への転換点のように感じたからかもしれません。米国にいる間に何度か米国のドラマに出演しているのを見ています。

本作品については、そろそろ結末が見えるのかという期待もあり、宿敵ともいえる二人との対決も明暗が分かれました。警察の同期で何かとぶつかってきた香田、犯罪者で何度か取り逃している仙田。特に仙田の過去が面白い。

とうとう鮫島が主流を外される理由となった「爆弾」についての真相は分かりませんでしたが、米国の刑事ドラマなどでも時折、「上」までを巻き込む汚職のスキャンダルとか、警察官の犯罪を組織ぐるみで隠ぺいしたエピソードなどが描かれます。特に日本の警察は真面目なだけに組織として問題があることが明るみに出れば、日本の治安そのものの不安定化につながりかねません。

そうした事情から、キャリアであり、本来は警察自体を動かす立場になるはずだった鮫島の存在が独特の物語を可能たらしめているといえます。

また、インターネットの普及・定着、外国人犯罪の横行・増加、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(通称「暴対法」)の影響を受けた組・団体組織の収斂と経済活動の増強などが反映されている作品という意味では、現代にアップデートされた新宿鮫ともいます。警察も旧態依然としているわけではなく、こうした時代の変化に対応しようと変革を進めているものの、新しいタイプの犯罪への対応が遅れ気味となってしまうことは仕方がないのかもしれません。もちろん、これから登場するであろう犯罪を予測して制度と装備を揃えることなど不可能だろう。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-334-74708-4
「狼花 新宿鮫IX」
大沢在昌 (著)
<内容紹介、BOOKデータベースより>
大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し、盗品を専門に売買する「泥棒市場」の存在を突き止める。この組織の背後には鮫島の宿敵、仙田がいた。一方、鮫島と同期でキャリアの香田は新設の組織犯罪対策部の理事官へ異動。香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。シリーズ最大の問題作。

2017/08/12<曇>
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社会や会社の病巣です<上念司『日本経済を滅ぼす「高学歴社員」という病』> [本棚]

高学歴社員、意識高い系、日本経済をダメにするのはこんな人たちということに納得しています。

高学歴社員がたくさんいる会社に勤めたこともありますし、部下に意識高い系を抱えて四苦八苦した経験もあります。

こうした社員が日本経済をダメにしている気もしますが、確実に会社をダメにしています。

念のために書いておきますが、意識の高い人と、意識高い系は全然違います。

「意識が高い学生」という言葉は「能力が高く、知識も経験も豊富な優秀な人材」という意味です。就職活動に関連して生まれた言葉といわれています。

これに対し、「意識高い系」とは「『意識が高い人』を装いながら空回りしている人」を皮肉った言葉であると述べ、他者からの承認欲求が強過ぎて滑稽に見える者達のことです。

金融危機のような極度の緊張の続く職場で、「意識の高い」部下を持つのと「意識高い系」の部下を持った場合の違いを想像してみてください。

本人自身も何も成果が出せないまま「自分は仕事ができる」とか「能力がある」と思って過ごしてしまいますので、ちっとも期待された成果が出ていませんし、他人に迷惑をかけても平気です。

それを指摘すると逆に「お前は俺の能力をきちんと測れない」とか「周囲が俺について来れない」などと発言したりしますので、周囲はもう失笑するしかありません。

さて、本題に戻りますと、机上の空論を振り回す企画部や問題の本質に目をつぶろうとする人事部など会社の「エリート」が所属する部署がなぜ失敗を続け、それを修正することができないのか。

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<本のデータ>
ISBN 978-4569767284
「日本経済を滅ぼす「高学歴社員」という病」
上念司 (著)
<内容紹介、BOOKデータベースより>
東芝、朝日新聞、財務省―繰り返される組織の不祥事は、なぜ起こるのか?そこには、一流大学卒のエリート経営者にもかかわらず、コンプライアンスよりも自己保身を優先させる「高学歴社員」の体質があった。彼らの行動原理は、一体どういうものなのか、組織を崩壊させないマネジメントとは?戦場のような現代のビジネス環境で生き残るためには必読の書。

2017/07/25<晴>
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リーダーとはどんな人であるべきか<塩野七生『マキアヴェッリ語録』> [本棚]

一流になるには、と大上段に構えるつもりはありませんが、平均よりは優れたサラリーマンになるつもりがあるなら、基礎教養として読んでおくべき本がいくつかあるというのが私の意見です。

あくまでも目安ですが、東洋と西洋を組み合わせた場合、次のようなものです。

20歳から30歳位までには、『孫子』(日本では「孫子の兵法」)と塩野七生の『ローマ人の物語』。
30歳から40歳位までには、『論語』とユリウス・カエサルの『ガリア戦記』。
40歳を超えたら『韓非子』とニッコロ・マキアヴェッリの『君主論』。

これらは「どうあるべきか」と「どうしたらいいか」に答えてくれます。個人として頑張る要素、組織を運営するための要素。

20代では、自分をどう鍛えていくか、どう戦うかを学ぶといいように思います。孫子から始めるといいように思います。

30代では、先輩・上司に加え、同僚と部下・後輩との付き合いが生まれます。この時どうしたらいいのか。論語はこうした疑問に答えてくれます。

40歳を超える前後から組織運営を考えないといけなくなります。漠然と組織にとって必要なもの、不要なものを考えていたのでは組織の変革が間に合いません。明確なビジョンを持ち、それを実現するための道筋を考えていく。リーダーを支えるならマキアヴェッリがリーダーには何が必要かを説いています。勝てる組織を作るための要不要は韓非子が教えてくれます。

実際には年ごと、場面ごと、立場ごとの様々な本がありますし、個人の事情、立場によって参考になる本は違ってくると思いますが、偉人・先達の知恵は書籍という形ですぐにアクセスできますので、どんどん吸収して損はないと思います。

また、ビリオネアたちがどんな本を読んでいるかが話題になりますが、新しい本に加え、彼らも必ず名著と呼ばれる本に目を通しています。

今回読んだ塩野七生の『マキアヴェッリ語録』はフィレンツェ共和国の外交官、イタリア・ルネサンス期の政治思想家ニッコロ・マキアヴェッリの思想を著した代表的な発言(実際には書籍にある言葉)を集めたもの。

マキアヴェッリはレオナルド・ダ・ヴィンチやチェーザレ・ボルジア、ロレンツォ・デ・メディチと同時代人であり、分裂・混乱期にあったイタリアの統一を願って、強力なリーダーとはどんな人物か、その人物はどのような性質・能力を有していないといけないかを説いたのが『君主論』であり、『戦術論』や『政略論』です。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-1011-8106-6
「マキアヴェッリ語録」
塩野七生 (著)
<内容紹介、BOOKデータベースより>
「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」「いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される」「人間は必要に迫られなければ善を行わない」…。浅薄な倫理や道徳を排し、ひたすら現実の社会のみを直視した、中世イタリアの思想家・マキアヴェッリ。「マキアヴェッリズム」という言葉で知られる彼の思想の真髄を、塩野七生が一冊にまとめた箴言集。

2017/06/20<晴>
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遺伝子設計作物の異常<藤井太洋『Gene Mapper -full build-』> [本棚]

病気や害虫に強い遺伝子操作で作り出された作物が存在する世界。同時にインターネットに問題が発生して、インターネット自体が機能しない未来の世界。

主人公・林田はこういう世界で、遺伝子操作作物をデザインしているが、彼がデザインした稲穂に異常が発生し、それを調査するため、ホーチミンを訪れ、想像を大幅に上回る問題に直面する。

食の安全を求めて急激に遺伝子操作された作物が普通に栽培、販売、流通している世界は遠くない未来には実現している可能性が高いです。

特に世界の人口増加のスピードと食糧増産のスピードの差が広がっていく中では、将来必要な措置となるように思えます。

登場人物には遺伝子操作作物で健康を害した者もいれば、遺伝子操作作物を敵視する連中、バイオテロを企む環境テロ組織などが入り乱れて、この遺伝子操作作物の未来を左右しようとします。

近未来を舞台とする面白い小説であると同時に、電子書籍として、自費出版されたことも話題となった作品です。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-1503-1107-0
「Gene Mapper -full build-」
藤井 太洋 (著)
<内容紹介、BOOKデータベースより>
拡張現実が広く社会に浸透し、フルスクラッチで遺伝子設計された蒸留作物が食卓の主役である近未来。遺伝子デザイナーの林田は、L&B社のエージェント黒川から自分が遺伝子設計した稲が遺伝子崩壊した可能性があるとの連絡を受け原因究明にあたる。ハッカーのキタムラの協力を得た林田は、黒川と共に稲の謎を追うためホーチミンを目指すが―電子書籍の個人出版がたちまちベストセラーとなった話題作の増補改稿完全版。

2017/05/01<曇時々雨>
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謎の美少女ならぬ謎の紳士<村上春樹『騎士団長殺し』第1部> [本棚]

村上春樹らしいモチーフとしていわくありげな美少女を挙げる評があるが、いわくありげな紳士といった方が正しい気がする。

『第1部 顕れるイデア編』を読み終えて、ようやく面白くなってきたのは約500ページ(実際には512ページ)の本の80%を読み終えた約400ページあたりという不思議な作品でした。

第1部と第2部両方を借りていますので、一応は読んで返さなくちゃと思っています。たぶん『第2部 遷ろうメタファー編』も美少女の部分だけが印象に残りそうな予感がします。。。

この美少女といわくありげな謎の紳士の関わり合いが面白い。

紳士は謎の商売をしていた(事業を売却したらしい)謎のお金持ちで、イメージとしては米ドラマ『ロイヤル・ペインズ(Royal Pains)』に出てくる謎のお金持ち「ボリス」のもうちょっとトーンダウンしたバージョンです。

今ネットで調べたら、ドラマの邦題は『救命医ハンク」でした。うーむ、この題名には全然「ロイヤル」な部分も「ペイン」の意味も反映されていない。

そういえば、という感じで、書店に立ち寄って村上龍の『半島を出よ』を購入しました。だいぶ昔読んだ『愛と幻想のファシズム』が面白かったので、読み応えがあるだろうと期待しているところです。 

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<本のデータ>
ISBN 978-4-1035-3432-7
「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編」
村上春樹 (著)
<内容紹介、アマゾンより>
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

2017/04/18<曇>
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その先には何があるのか?<王銘エン『囲碁AI新時代』> [本棚]

コンピューターが囲碁で人間に勝つのはまだまだ先といわれていた2、3年前の時点で、コンピューターは普通のプロに3目を置いても(先に3手を打つことが許されるという、いわばハンデ)ようやく勝てるかどうか程度の実力でした。あと10年は人間(この場合はプロ)には勝てないといわれてしました。

それがAIとディープラーニングの組み合わせでメキメキ実力をつけ、グーグルが買収したディープ・マインド社が開発した囲碁プログラム『アルファ碁(AlphaGo)』がトッププロ(イ・セドル九段)を破る(しかも4勝1敗)までになりました。ほぼ1年前の2016年3月のことです。

日本の囲碁ソフトも健闘し、趙治勲(ちょう・ちくん、二十五世本因坊、名誉名人)対『DeepZenGo』の3回勝負では2回戦(2局目)で勝利を収めています。結果は2勝1敗で趙名人が勝利しました。こちらは2016年11月のことです。

そして、ほぼ究極と言えるのが、インターネットの囲碁サイトでプロ相手に60連勝した「Master」です。当初グーグルのアルファ碁の進化版ではないかとの憶測もありました。なぜなら、トッププロに勝利した後、アルファ碁はほとんど表に出ず、進化を続けていたのではないかと思われたからだそうです。一説には、イ・セドルに5戦5勝の完全勝利を予定していたのに、1回負けたからそれは改善の余地が大きいと考えられたからとも。

さて、この「Master」と名乗るアカウントがインターネット囲碁サイト「東洋囲碁」で確認されたのは2016年12月29日。トッププロとの対戦で勝ち続け、16年大晦日までに「東洋囲碁」で30連勝、17年1月5日までに中国の囲碁サイト「野狐囲碁」で30連勝、合わせて60連勝と勝率は100%となりました。

普通に考えたら、100%の勝率というのはあり得ないレベルで、打ち方も含め、人間ではない、つまりAIだろうと予想されていたが、では一体誰(何)なのか?

では「Master」とは誰なのか。ネット上ではあまりの強さに「ヒカルの碁」のサイだと持てはやされた。囲碁の強い人でも最高勝率はだいたい6割で、いくら強い人でもミスが出て100%の勝率は不可能。勝ち方からもAIだと推測された。

結局、100%の勝率、60連勝を達成した段階で、グーグルは「Master」が「アルファ碁」の進化型であることを公表しました。

作者は語のプロであると同時に囲碁ソフトの開発にもかかわってる台湾出身の王銘エン氏、コンピューターの専門家ではないものの、囲碁と囲碁ソフトへの理解から上手に囲碁ソフトの進化やそれの囲碁界への影響を開設しています。

プログラム(囲碁ソフト)が99%の勝率にとどまったならば、そこが限界と認識されますが、100%となるとその先がどうなるのか予想がつかないレベルまで達するのか、すぐ先に限界があるのかは分からなくなります。

それがAIの限界が見えない不気味さであり、「シンギュラリティ」が来た時に人間を超えていく恐怖心に繋がっていくのだろうと思わせます。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-8399-6254-8
「囲碁AI新時代」
王銘エン (著)
<内容紹介、「BOOK」データベースより>
人類に勝利して1年―、AIは囲碁をどう変えたのか?怒濤の60連勝、アルファ碁の進化版「Master」登場。国内最強ソフト「DeepZenGo」の魅力と可能性。プロ棋士に今後問われることは?トップ棋士による最前線レポート。

2017/04/17<曇時々雨>
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理想の君主か破壊王か?<塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは華麗なる冷酷』> [本棚]

『君主論』で有名なニコラ・マキャベリ(ニッコロ・マキャヴェッリ、イタリア語: Niccolò Machiavelli、1469年5月3日~1527年6月21日)の同作中に理想の君主のモデルの一つとして取り上げられたのが、チェーザレ・ボルジア(イタリア語: Cesare Borgia、1475年9月13日~1507年3月12日)。

チェーザレ・ボルジアはイタリア・ルネサンス期の聖職者、政治家、軍人。イタリアでは一般にヴァレンティーノ公と呼ばれている。これは、イタリアでは単に「チェーザレ」といった場合は、ガイウス・ユリウス・カエサル(ガイオ・ジュリオ・チェーザレ)を指すためといわれています。

父ロドリーゴ・ボルジアについてカトリック教会での職位を高めていた。パンプローナ司教となったのち、父ロドリーゴが法王アレッサンドロ6世となったのに伴い、ヴァレンティーノ大司教、そしてヴァレンティーノ枢機卿となった。

枢機卿の間は「ヴァレンティーノ公」と呼ばれたが、後に教会職を辞して、父法王とフランス王ルイ12世との協定で、ヴァランス地方の領主となってからは、奇遇だが、これまた「ヴァレンティーノ公」となった。

武力を持たない教会は軍備を整え、チェーザレを教会軍総司令官に任命し、教会に反抗した小領主等を屈服していった。教会権力に反抗的な領主や枢機卿の親族にも闘いを挑んだ。

法王及び教会の権威の復活を進めるとともに、小国に分立していて、外国勢力の侵攻に対抗できないイタリアの統一を目指したといわれる。

手段を選ばない陰謀家との歴史的評価(*)がつきまとうこの人物は、本当に稀代の悪党だったのか、理想のために奔走した情熱家だったのか、塩野七生の見方は面白い。

*…毒薬(ボルジア家秘伝の毒「カンタレル」)をもって政敵を暗殺したとか、反乱者たちには容赦しない残虐性とか、フランス王やスペイン王、各国の領主を巧みに動かした策略家など。

特筆すべきは、チェーザレがルネサンス期の人物で、当時の最高の才能を有する天才・レオナルド・ダ・ヴィンチと親交があったことや、フィレンツェ共和国の外交官で後に『君主論』を著すマキャヴェッリその人とも親交があったことでしょう。

チェーザレの死をもって、マキャヴェッリはイタリアを統一したかもしれない「理想の君主」を失い、ダ・ヴィンチは彼の才能を真に評価できる理解者を失ってフランスへと移っていった。


よくサラリーマン向けの雑誌などで歴史に学べという特集が組まれるが、では何を読んで学ぶのが良いか。漫然と世界史とか、日本史を読んでも意味がありません。

もし組織を動かすならば、個人的には韓非子とチェーザレ・ボルジアを勉強することをお勧めします。特に日本において、論語や孫子を勉強している程度では、勝てる組織を作ることができません。いや、社会人になって10年以内ならば基礎学力として、論語と孫子、ユリウス・カエサルを勉強するのは良いと思います。しかし、30代後半からは韓非子とチェーザレ・ボルジアそして、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスを勉強し、強い組織、勝てる組織を作るにはどうしたらいいか考えてみることは必要ではないでしょうか。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-10-118102-8
「チェーザレ・ボルジア あるいは華麗なる冷酷」
塩野七生 (著)
<内容紹介、アマゾンより>
ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいだいた一人の若者――父である法王アレッサンドロ六世の教会勢力を背景に、弟妹を利用し、妻方の親族フランス王ルイ十二世の全面的援助を受け、自分の王国を創立しようとする。熟練した戦略家たちもかなわなかった彼の“優雅なる冷酷"とは。〈毒を盛る男〉として歴史に名を残したマキアヴェリズムの体現者、チェーザレ・ボルジアの生涯。

2017/04/07<曇時々雨>
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本の展示<やっと荷ほどき> [本棚]

日本に来て、1年9か月。やっと本の入っている箱を開封することができました。

まだ、ほんの一部ですが、好きなものを飾ってみました。

<ロバート・キャパとエリオット・アーウィット>
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<フェルメールと月面着陸>
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時折変えてみようと思っています。

2017/03/20<雨>
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