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謎の美少女ならぬ謎の紳士<村上春樹『騎士団長殺し』第1部> [本棚]

村上春樹らしいモチーフとしていわくありげな美少女を挙げる評があるが、いわくありげな紳士といった方が正しい気がする。

『第1部 顕れるイデア編』を読み終えて、ようやく面白くなってきたのは約500ページ(実際には512ページ)の本の80%を読み終えた約400ページあたりという不思議な作品でした。

第1部と第2部両方を借りていますので、一応は読んで返さなくちゃと思っています。たぶん『第2部 遷ろうメタファー編』も美少女の部分だけが印象に残りそうな予感がします。。。

この美少女といわくありげな謎の紳士の関わり合いが面白い。

紳士は謎の商売をしていた(事業を売却したらしい)謎のお金持ちで、イメージとしては米ドラマ『ロイヤル・ペインズ(Royal Pains)』に出てくる謎のお金持ち「ボリス」のもうちょっとトーンダウンしたバージョンです。

今ネットで調べたら、ドラマの邦題は『救命医ハンク」でした。うーむ、この題名には全然「ロイヤル」な部分も「ペイン」の意味も反映されていない。

そういえば、という感じで、書店に立ち寄って村上龍の『半島を出よ』を購入しました。だいぶ昔読んだ『愛と幻想のファシズム』が面白かったので、読み応えがあるだろうと期待しているところです。 

killing-commendatore.JPG
<本のデータ>
ISBN 978-4-1035-3432-7
「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編」
村上春樹 (著)
<内容紹介、アマゾンより>
その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

2017/04/18<曇>
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その先には何があるのか?<王銘エン『囲碁AI新時代』> [本棚]

コンピューターが囲碁で人間に勝つのはまだまだ先といわれていた2、3年前の時点で、コンピューターは普通のプロに3目を置いても(先に3手を打つことが許されるという、いわばハンデ)ようやく勝てるかどうか程度の実力でした。あと10年は人間(この場合はプロ)には勝てないといわれてしました。

それがAIとディープラーニングの組み合わせでメキメキ実力をつけ、グーグルが買収したディープ・マインド社が開発した囲碁プログラム『アルファ碁(AlphaGo)』がトッププロ(イ・セドル九段)を破る(しかも4勝1敗)までになりました。ほぼ1年前の2016年3月のことです。

日本の囲碁ソフトも健闘し、趙治勲(ちょう・ちくん、二十五世本因坊、名誉名人)対『DeepZenGo』の3回勝負では2回戦(2局目)で勝利を収めています。結果は2勝1敗で趙名人が勝利しました。こちらは2016年11月のことです。

そして、ほぼ究極と言えるのが、インターネットの囲碁サイトでプロ相手に60連勝した「Master」です。当初グーグルのアルファ碁の進化版ではないかとの憶測もありました。なぜなら、トッププロに勝利した後、アルファ碁はほとんど表に出ず、進化を続けていたのではないかと思われたからだそうです。一説には、イ・セドルに5戦5勝の完全勝利を予定していたのに、1回負けたからそれは改善の余地が大きいと考えられたからとも。

さて、この「Master」と名乗るアカウントがインターネット囲碁サイト「東洋囲碁」で確認されたのは2016年12月29日。トッププロとの対戦で勝ち続け、16年大晦日までに「東洋囲碁」で30連勝、17年1月5日までに中国の囲碁サイト「野狐囲碁」で30連勝、合わせて60連勝と勝率は100%となりました。

普通に考えたら、100%の勝率というのはあり得ないレベルで、打ち方も含め、人間ではない、つまりAIだろうと予想されていたが、では一体誰(何)なのか?

では「Master」とは誰なのか。ネット上ではあまりの強さに「ヒカルの碁」のサイだと持てはやされた。囲碁の強い人でも最高勝率はだいたい6割で、いくら強い人でもミスが出て100%の勝率は不可能。勝ち方からもAIだと推測された。

結局、100%の勝率、60連勝を達成した段階で、グーグルは「Master」が「アルファ碁」の進化型であることを公表しました。

作者は語のプロであると同時に囲碁ソフトの開発にもかかわってる台湾出身の王銘エン氏、コンピューターの専門家ではないものの、囲碁と囲碁ソフトへの理解から上手に囲碁ソフトの進化やそれの囲碁界への影響を開設しています。

プログラム(囲碁ソフト)が99%の勝率にとどまったならば、そこが限界と認識されますが、100%となるとその先がどうなるのか予想がつかないレベルまで達するのか、すぐ先に限界があるのかは分からなくなります。

それがAIの限界が見えない不気味さであり、「シンギュラリティ」が来た時に人間を超えていく恐怖心に繋がっていくのだろうと思わせます。

ai-go-after-alphago.JPG
<本のデータ>
ISBN 978-4-8399-6254-8
「囲碁AI新時代」
王銘エン (著)
<内容紹介、「BOOK」データベースより>
人類に勝利して1年―、AIは囲碁をどう変えたのか?怒濤の60連勝、アルファ碁の進化版「Master」登場。国内最強ソフト「DeepZenGo」の魅力と可能性。プロ棋士に今後問われることは?トップ棋士による最前線レポート。

2017/04/17<曇時々雨>
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聞いたことないけど?<最近の専門用語は英語以外?> [研究日誌]

本日夕方、業後にラポール研修というのがあって参加しました。

皆様はご存知でしょうか、ラポール(rapport)?

ラポール (rapport) とは臨床心理学の用語で、セラピストとクライエントとの間の心的状態を表すそうです。

ウィキペディアによりますと、「もとは、オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメルが「動物磁気」に感応したクライエントとの間に生じた関係を表現するために用いた語である。その後、セラピストとクライエントの間に、相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語として用いられるようになった。カウンセリングや心理療法をどのような立場から行う場合であっても、ラポールは共通した基本的な前提条件として重視されている。」のだそうです。

最近の研修は、差別化とか特別感を出すために、こうした聞きなれない言葉を使っているのではないかと思います。もちろん私が知らないだけで、心理学の世界で普通の用語かもしれませんが、英語ではないことは確かです。どちらかというとフランス語やドイツ語、或いはそれらを原語とする言葉が多いと思います。

講師は話が上手で、研修自体は面白かったですよ。

参加することになった経緯が笑ってしまうのは、研修担当部長が自ら私の机に来て、「業後ですが、よろしく」と言いに来たからです。

業後も何も、きちんと仕事が終わらない職場(人事課、どうにかしてよ)では、「何を言ってるんだ」としか思えませんが、まぁ、こちらも苦笑いしながら、「出るつもりでしたよ」と言って参加しました。小さな恩を幾つか売っておいて、後で大きく返していただきましょ。

さて、会場を見渡すと頭数を揃えるために、研修担当部長の部下の人事課中堅職員も1人駆り出されたようで、ちょっと場違いな雰囲気を出していました。

人事課といえど、皆が職員研修や採用活動に携わるわけではなく、給与計算とか、福利厚生などの担当者もいます。最近はマイナンバー管理担当者みたいな者もいます。それだけをやってるわけではないでしょうけど。

2017/04/12<雨>
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どうやって出力を測るのだろうか?<ナノカー・レース> [研究日誌]

世界最小の「車」によるレースがフランスで開催されるそうです。

ル・マンの子供版とか、ラジコン世界一とか、そういう話ではありません。

なんと、分子レベルの車「ナノカー」で競うレースなのだそうです。

AFPが伝えるところによりますと、フランス国立科学研究センター(CNRS)の後援で、同国南西部トゥールーズ(Toulouse)にあるCNRSの実験室で開催されるそうです。

参加するナノカーのエンジン、ハンドル、ペダルは、それぞれ数百個の原子で構成され、科学者らがハンドルの代わりに握るのは、電流を発生する4本の針のような金属片をつけた顕微鏡。

人の髪の毛1本の幅の1000分の1に当たる100ナノメーターをナノカーが走行してゴールインするには、少なくとも36時間かかる見込みです。レースの模様はユーチューブで実況されるそうです。

主催者側の4月4日の発表によると、フランス、ドイツ、日本、スイス、米国と米オーストリア合同チームがそれぞれ参加資格を得たものの、4月28日と29日のレースに参加するのは4チームだけだとなるようです。

36時間ずっと見るのは大変ですので、ダイジェスト版か早回しの映像を見るのがちょうどいいかもしれません。

そこで、素朴な疑問ですが、電流でナノカーを誘導するなら、ナノカー自体はエンジンが出力しないので、馬力等の単位とは無縁なのでしょう。となると、今後開かれたレースへと発展した場合、なにが基本性能を規定するのでしょう。

もしかして、構成している原子の数とか、保有している電子の数とかになるのでしょうか。。。

電子の数で勝負ならプルトニウム等は2百個以上の電子を持っていますから、数字は大きくなりますが、原子自体が重くなるので、軽量化が大事な「レースカー」向きではないかもしれません。

2017/04/11<雨>
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理想の君主か破壊王か?<塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは華麗なる冷酷』> [本棚]

『君主論』で有名なニコラ・マキャベリ(ニッコロ・マキャヴェッリ、イタリア語: Niccolò Machiavelli、1469年5月3日~1527年6月21日)の同作中に理想の君主のモデルの一つとして取り上げられたのが、チェーザレ・ボルジア(イタリア語: Cesare Borgia、1475年9月13日~1507年3月12日)。

チェーザレ・ボルジアはイタリア・ルネサンス期の聖職者、政治家、軍人。イタリアでは一般にヴァレンティーノ公と呼ばれている。これは、イタリアでは単に「チェーザレ」といった場合は、ガイウス・ユリウス・カエサル(ガイオ・ジュリオ・チェーザレ)を指すためといわれています。

父ロドリーゴ・ボルジアについてカトリック教会での職位を高めていた。パンプローナ司教となったのち、父ロドリーゴが法王アレッサンドロ6世となったのに伴い、ヴァレンティーノ大司教、そしてヴァレンティーノ枢機卿となった。

枢機卿の間は「ヴァレンティーノ公」と呼ばれたが、後に教会職を辞して、父法王とフランス王ルイ12世との協定で、ヴァランス地方の領主となってからは、奇遇だが、これまた「ヴァレンティーノ公」となった。

武力を持たない教会は軍備を整え、チェーザレを教会軍総司令官に任命し、教会に反抗した小領主等を屈服していった。教会権力に反抗的な領主や枢機卿の親族にも闘いを挑んだ。

法王及び教会の権威の復活を進めるとともに、小国に分立していて、外国勢力の侵攻に対抗できないイタリアの統一を目指したといわれる。

手段を選ばない陰謀家との歴史的評価(*)がつきまとうこの人物は、本当に稀代の悪党だったのか、理想のために奔走した情熱家だったのか、塩野七生の見方は面白い。

*…毒薬(ボルジア家秘伝の毒「カンタレル」)をもって政敵を暗殺したとか、反乱者たちには容赦しない残虐性とか、フランス王やスペイン王、各国の領主を巧みに動かした策略家など。

特筆すべきは、チェーザレがルネサンス期の人物で、当時の最高の才能を有する天才・レオナルド・ダ・ヴィンチと親交があったことや、フィレンツェ共和国の外交官で後に『君主論』を著すマキャヴェッリその人とも親交があったことでしょう。

チェーザレの死をもって、マキャヴェッリはイタリアを統一したかもしれない「理想の君主」を失い、ダ・ヴィンチは彼の才能を真に評価できる理解者を失ってフランスへと移っていった。


よくサラリーマン向けの雑誌などで歴史に学べという特集が組まれるが、では何を読んで学ぶのが良いか。漫然と世界史とか、日本史を読んでも意味がありません。

もし組織を動かすならば、個人的には韓非子とチェーザレ・ボルジアを勉強することをお勧めします。特に日本において、論語や孫子を勉強している程度では、勝てる組織を作ることができません。いや、社会人になって10年以内ならば基礎学力として、論語と孫子、ユリウス・カエサルを勉強するのは良いと思います。しかし、30代後半からは韓非子とチェーザレ・ボルジアそして、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスを勉強し、強い組織、勝てる組織を作るにはどうしたらいいか考えてみることは必要ではないでしょうか。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-10-118102-8
「チェーザレ・ボルジア あるいは華麗なる冷酷」
塩野七生 (著)
<内容紹介、アマゾンより>
ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいだいた一人の若者――父である法王アレッサンドロ六世の教会勢力を背景に、弟妹を利用し、妻方の親族フランス王ルイ十二世の全面的援助を受け、自分の王国を創立しようとする。熟練した戦略家たちもかなわなかった彼の“優雅なる冷酷"とは。〈毒を盛る男〉として歴史に名を残したマキアヴェリズムの体現者、チェーザレ・ボルジアの生涯。

2017/04/07<曇時々雨>
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